外国人の部下を持ったら先ず8つの指標をチェック!

2019.01.04 

随分前ですが、帰国子女である息子が ”In Japan, they don’t use chopsticks like that.” と、変なお箸の使い方をしていた外国人の友達に、間違えを指摘していたことがありました。 その時、彼が”we” じゃなくて、”they”を使ったのが、なんとなく自然に感じたのが記憶に残っています。

 

先日外国人の部下を持つ管理職の方から、日本の慣習を説明する際、”We, Japannese don’t do ~” のような出だしは問題ないかと聞かれて、ちょっと悩みました。 文法的には問題ないのですが、「私たち、日本人はね・・」みたいに上から目線な違和感をちょっと感じます。 日本人が日本人の事や日本の習慣を話す場合、”we” ではなく、”they”を使った方が客観的なニュアンスとなり、相手もより自然に受け入れるではと思います。

 

そもそも、私たちは日本人はいろんな意味で自分たちは特殊と思いがちですよね。 確かに欧米文化と比べれば違いは大きいものの、世界のどの国の文化もすべてがユニーク。 日本人の真面目さや勤勉さ、文化や歴史に対する誇りなどを根底に持つのはとても重要ですが、私たち日本人だけが特別と響いてしまうような表現は、避けた方が良いでしょう。

 

最近は外国人を部下に持ったり、グローバルなプロジェクトで外国人と一緒に働くという方からのご相談も増えています。 異文化の人と働くには、ステレオタイプ的な先入観は避けつつも、ある程度事前の知識をもって相手の考え方や価値観を理解しておくことも必要。 その一方で実際は状況に応じて柔軟に対応する・・・といったバランスが必要になると思います。

 

こういった異文化マネージメントの難しさを克服するための参考になる、Harvard Business Reviewの記事を読んだので、簡単にポイントをご紹介します!

記事自体、そんなに難しい英文ではないので、ご興味ある方は是非チャレンジして読んでみてください!(Harvard Business Reviewの記事は、閲覧数に制限があるようですが、しばらくは無料で読めます。 また日本語訳がキンドルで販売されているようです。)

 

これを書いたErin Burkett Meyerさんは、INSEADの教授です。 

 

この記事では、文化的多様性を持つメンバーをマネージする上で捉えていた方が良い事柄を、8つのスケール(指標)を用いたカルチャーマップ 紹介しています。

 

例えば、フランス人と一緒にプロジェクトに従事することになった時、「フランス人はおしゃれだけど、ちょっと冷たい」とか、限られた情報や単一的な見方で決めつけるのはリスクがありますよね。 どういった思考や価値観を持つ傾向にあるのかを、この8つの指標でとらえておくことが助けになります。 プロジェクトリーダーや外国人の上司になる方、こういった理解がチームを上手く運営する上でも不可欠ですので、要チェックです!

 

カルチャーマップから深める異文化理解

第1の指標:コミュニケーションのスタイルが直接的か間接的か

コミュニケーションのスタイルの違いは、”high-context” (ハイコンテキスト)か、”low-context”(ローコンテキスト)かで変わります。 ”context” という単語は、「前後関係」とか「背景」と言った意味ですが、ここでいうcontextは、コミュニケーションの前提になる共通の知識、体験、考え方等広いものです。 敢えて言葉に出さなくてもわかりあえるような、文化的共通理解が多い日本は、high-context 文化ですね。 チーム間でのコミュニケーションも文脈や行間を読むと言ったことが期待されます。 一方、low-contextの文化では、伝えたいことは明確に、シンプルに伝えることが求められます。

 

第2の指標:ネガティブな評価をする時の表現方法

このテーマは、外国人の部下を持つ管理職の方が一番神経を使うところではないでしょうか? 「直接的に言わないと伝わらないと誤解してた・・・。」とか、「英語の表現力の問題でストレートな物言いになってしまった・・・。」 と言った結果、想定以上に相手が傷ついてしまい、信頼関係に悪影響を与えてしまったといった苦い経験、お持ちの方も多いのでは。 というか、これかつての私です(汗)

 

第3の指標:説得の方法が一つの事象を個別に捉えるか、包括的に捉えるか

ある課題で部下を説得する場合、欧米のマネージャーのスタイルは、その一つの事情を個別に捉えて議論に集中する傾向にある一方、アジアのマネージャーはその他諸々、包括的に考えて話をする傾向にあります。 心当たりがある方も多いのでは。

 

第4の指標:組織をLeadする時のスタイルが、平等主義的か階層主義的か

権力を持つ人と、部下との距離感は文化によっても様々ですね。

 

第5の指標:意思決定のプロセスがトップダウンか、合意を重んじるのか

日本がチーム間での合意形成を重んじるのは周知ですが、アメリカとドイツのアプローチもかなり異なるなど、文化によって様々な分野です。

 

第6の指標:信頼構築は仕事を通して築くのか、人間関係を通して行うのか

仕事を一つ一つ進めていく中で、信頼関係を蓄積していく文化もあれば、先ずは一緒に時間を過ごして、理解しあうことで信頼を築こう、という文化もあります。 日本は後者でしょうか?

 

第7の指標:反対意見を出すことが許容されるか、控えておいた方が無難か

アメリカなどは、チーム内で反対意見が出る方がむしろ健全、と受け止められていますが、反対意見を出しにくい文化もありますね。 日本もどちらかという言い出しにくいですよね。

 

第8の指標:スケジューリングの考え方が厳格か、柔軟か

一度プロジェクトのスケジュールや、ミーティングのアジェンダを決めたら、きっちり厳格に守ろうとする文化と、そういった決め事は単に予定であって、柔軟に対応していこうという考え方があります。  こういった違いの理解がないまま、多様なプロジェクトメンバーをまとめようとすると、リーダーにはストレスたまりがちです。

この考えは、“monochronic” と “polychronic” という捉え方からの説明もありますが、この件はまた改めて書きます。

 

ざっと、8つの指標を私の理解で紹介してきました。

 

長くなりましたが、こういった理解が重要だと思うのは、私自身や私が働いていた組織の周囲の苦労からきています。 日本人にとって、多様な文化の人達と働くことは、エキサイティングである一方、色々な苦労があるもの。 価値観や文化的背景の違いがあることを理解していれば、実務で課題や試練に直面した際にも、少し冷静に対応できると思います。 また、予期せぬ意見や反応にあってしまった時も、必要以上に自分の力量を責めたり、ストレスをためることも減るのではないかと思います。

 

 

メイヤーさんによると、これからの8つの指標を踏まえて、異文化の部下やメンバーを理解しようとする時、気に留めておかなければいけないポイントが、4つあるそうです。

1.年月かけて培ってきた自分のマネージメントスタイルを、すぐに変えることができると過信しない。じっくり時間をかけて臨むべき。

2.異なる文化的背景を持つメンバーが複数いる場合、自分が相手をどう見るかだけでなく、それぞれがどう受け止めあっているかにも気を配る。

3.相手の考え方などを否定せず、前向きにとらえる。

4.自分のリーダーシップのスタイルを、状況に応じて臨機応変に改善していく努力を怠らない。

どれもごもっともながら、「言うは易く行うは難し」ではありますね。 しかしながら、そういったリーダーは、多様なメンバーからなるチーム力を高めることができ、組織としてよりよい仕事ができるようになります!

 

この記事の著者、Erin Meyerさんの翻訳本、「文化理解力――相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養」はベストセラーです。 こちらも読んでみてください。

 

私の個人プログラムでは、このようなHarvard Business Reivewの記事も題材にしています。関心や英語のレベルにあわせて記事を選んでいます。”英語を学ぶ”から、”英語で学ぶ”に徐々にシフトすると、各段に英語力がアップします。 体験のお申込みはこちらから。

 

 

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