外国人とわかり合えない原因はこれかも?

2019.01.06 

先日投稿した、外国人の部下を持ったら、先ず8つの指標をチェックが好評でした。  

カルチャーマップという手法を用いて、8つの視点から外国人ビジネスパートナーの”傾向”を理解しようというものでした。

外国人と働く場合、日本人同士のようにサクサクわかり合えないのは、言語のせいと考えがちですが、実際はべースにある物事に対する捉え方が異なるため、”なんか違うな”と感じることもあります。

カルチャーマップの8つめの指標、”スケジューリング”は、時間に対する考え方の違いでした。 時間感覚とか時間意識が違うと、プロジェクトの進行や交渉、ミーティングの進め方など、ビジネスのあらゆる場面で大きな影響がありますよね。

今回は、時間に対しての考え方を”monochronic(モノクロニック)” と “polychronic(ポリクロニック)” という考え方を用いて、詳しくみていきます。

この考え方、MタイムとかPタイムという言い方で語られることもあります。 

もともとアメリカの文化人類学者のEdward T. Hallさんが、文化圏によって異なる、時間に対する考え方を分類する際に導入したものだそうです。

実は私もこの理論的な説明は割と最近まで知りませんでした。 ある異文化コミュニケーションについてのエッセイの中で初めて目にしたのですが、「あ~、これ知ってれば、もっと上手くグローバルプロジェクトのリーダーできたかもな・・・」とちょっと残念に思いました。

 

 

時間に対する異なる考え方

モノクロニック(Mタイム)とは?

モノクロニック (monochronic)な考え方は、アメリカやカナダ、北欧圏などにあり、「一度に行う(集中する)ことは一つだけ。」、 英語の表現 だと”doing one thing at a time” が基本になります。

モノクロニックな見方をする人達にとって、時間は有限で高い価値があり、スケジュール厳守を重視します。 また、スケジュール遵守は人間関係よりも優先される傾向にあります。

モノクロニックな文化では、会議はスタートも終わるのも予定通り。 物事は一つ一つ順番に起こるという考え方をするので、一つの事に集中する傾向が強くなります。

会議や交渉で複数の課題に直面した時なども、あれもこれも一緒に話そうというスタイルではなく、一つ一つこなしていこうという進め方になる訳です。

ちょっと時間とはズレますが、公私をきっちり区別するといった傾向もあるそう。

こういった傾向を知ると、「アメリカの本社はなぜ一度決めたタイムラインに、(日本人からしてみると)過剰なまでに固執したのか」とか、「複数の課題を一緒に交渉のテーブルにのせようとしたら、相手のアメリカ人が当惑したような顔をしてた・・」など、心あたりの事を思い出しながら、ちょっと納得される方もいるかもしれません。

 

ポリクロニック(Pタイム)とは?

一方、ポリクロニック(polychronic)な考え方は、南米、アフリカ、アジア、アラブなどにみられ、「同時に複数の事を行う。」、 英語の表現 では”doing several events simultaneouly”となります。  

ポリクロニックな考え方の人は、時間よりも人間関係(予定を遵守することよりも、人々を巻き込んで完成させる)ということが重視され、いわゆる”マルチタスク”に価値があると考えます。

色々な物事は同時に起こるし、時には突発的にも起きると捉えていて、時間に対しても柔軟な考え方を持っています。

人間関係重視ですので、公私の区別もあまりない傾向があるそうです。

それぞれの考え方には、もっと細かい行動パターンの違いがありますが、上記の特徴だけを理解しても、モノクロニックな考え方をする人と、ポリクロニックな考え方の二人が一緒に働くことになった場合は、諸々の誤解や衝突が起こりうるのが容易に想像できますね。

モノクロニックな考え方を持つ人は、同僚が色々な事に同時に取り組んでいるのを見たら、段取りが悪くて集中していないと、フラストレーションを感じるかもしれません。 ポリクロニックな考え方をする同僚を、スケジュールにルーズで責任感がないとか、人間関係重視でうっとうしいと感じることすらあるかもしれません。

一方、ポリクロニックな考え方を持つ人は、スケジュール遵守が絶対なモノクロニックな同僚を、柔軟性がないとか、威圧的と考えるかもしれません。 突発的事項が起きても対応してくれない同僚を、冷たいと感じることもかもしれません。

両者の違いを克服するには?

もちろん、「モノクロニック」や「ポリクロニック」の傾向にはその時の状況や個人差などもあって、スパッと二分されるものではないと思います。 ただし、グローバルビジネスで直面する様々な場面で、相手の行動パターンを理解する上での参考になるものだと思います。 時間感覚や人間関係へ考え方の違いを理解すれば、相手に失礼とか、傲慢と思われてします行動は避けることができると思います。

自分達の持つ常識が正しいと思い混んでいると、無意識のうちでも相手の行動を批判しがちです。 

こうしたら大丈夫! という即効薬はありませんが、先ずは相手の考え方や価値観を理解する努力をすること、ステレオタイプ的な思い込みで、相手を判断しないことが大事だと思います。 

グローバルメンバーを率いることになった場合は、自分のメッセージが相手にどう伝わったかを確認するために、相手の言葉で理解していることを語ってもらうということも有効です。 

ところで日本人はMタイプ、Pタイプ?

一般的にアジアの国はPタイム、ポリクロニックな考え方が多いと言われていますが、日本はMとPの両方の特徴を持つと考えた方がしっくりくるのではないでしょうか。

子供の頃から「5分前集合」とか言われる程、時間厳守には厳しい文化だと思いますが、会議やプロジェクトなど何があってもスケジュール通りに終えるというMタイムの考え方には違和感もあるでしょう。 

時間厳守やスケジュール遵守よりも、”質”にこだわってプロジェクトの延期をするということもありますし。 

また、義理とか人情という発想で、人間関係も重視する傾向があると思います。

いずれにしろ、「世界には時間に対する考え方は一つじゃない!」 という事と、「職場の同僚との距離感なども、文化によって様々」と理解しておくと、グローバルなビジネス環境で働く上での大きな助けになると思います!

参考文献:

Everything is about time: does it have the same meaning all over the world?
https://www.pmi.org/learning/library/everything-time-monochronism-polychronism-orientation-6902

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